爪白癬(爪の水虫)治療
爪白癬(爪の水虫)は、足の水虫を繰り返す原因になったり、家族への感染源になったりしますので、飲み薬を使ってきちんと治しましょう。
爪白癬(爪水虫)ってどんな病気?
爪白癬は、爪に白癬菌(いわゆる水虫菌)が感染したため、爪の色が白く濁ったり、爪の厚みが増して変形したり、爪がもろく崩れやすくなった状態のことです。痛みやかゆみを伴わないために放置されやすいのですが、症状が進行すると爪の変形による痛みから歩行に障害をきたす場合があります。
また、感染した爪の中には大量の白癬菌が存在するため、頑固な足白癬(一般的な水虫)の原因になったり、家族内で水虫の感染源になる可能性もあります。
爪白癬の症状は?
白癬菌が感染した爪は白く濁った状態に変化します。進行すると爪が厚く変形したり、もろく崩れやすい状態になります。
このような変化が、始めは1カ所の爪だけに見られますが、徐々に他の爪にも感染が広がり複数の爪に見られるようになります。
どうやって治すの?
治療には、白癬菌の繁殖を抑制し、殺菌的な作用のある抗真菌薬を用います。抗真菌剤には外用薬(塗るタイプの薬)と内服薬(飲むタイプの薬)があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
外用薬(クレナフィン爪外用液)
爪は硬くて丈夫な構造をしているため、足白癬の治療に使用する水虫用の塗り薬ではあまり効果が期待できません。高濃度で爪に浸透しやすい爪白癬専用の外用抗真菌薬を使用します。比較的軽症の爪白癬に効果が期待できます。内服薬と違って全身的な副作用の心配はありませんが、爪の周囲が薬でかぶれることがあります。爪が生えかわるまで約6ヶ月~1年間、1日1回塗り続けます。
内服薬
現在日本で使用されている内服抗真菌薬は右図にある3種類です。この中で最も効果に優れているのはホスラブコナゾール(ネイリン)です。テルビナフィン(ラミシール)は薬剤費が安く済みますが、内服期間が6ヶ月~1年間と長期になります。通常はこの2種類のどちらかで治療していきますが、これらの薬剤が体に合わない人や、無効であった人に対してはイトラコナゾール(イトリゾール)を使用する場合もあります。
これらの内服薬による副作用として、胃腸障害や肝機能障害を生じることがあります。したがって、もともと肝機能の悪い人には使用できません。また、治療中は副作用をチェックするため、定期的に血液検査を行います。一部飲み合わせの良くない薬(ある種の胃薬や睡眠薬、コレステロールを下げる薬、アレルギーをおさえる薬など)がありますので、他の病気の治療のため内服中の薬がある方は、その薬の内容を医師にお伝え下さい。
(詳しくは → 治療のスケジュール)
治るまでの期間
通常、爪が根元から指先まで伸びるのに6ヶ月~1年程度かかりますので、治療開始から治癒までには6ヶ月~1年、あるいはそれ以上の期間を要します。3ヶ月で内服終了する治療法であっても、その後きれいな爪に生え変わるまでには数か月かかります。
治療によって白癬菌に対する免疫ができるわけではありませんので、治療終了後は再感染しないように注意が必要です。足の清潔を保ち、長時間の足のムレを避け、足白癬(通常の“水虫”)を疑う症状(足のかゆみや水疱、皮むけ、趾の股のじくじくなど)が現われたらすぐに皮膚科を受診するようにしましょう。
治療のスケジュール
治療費
抗真菌薬の飲み薬による治療の場合、通常の診察料と処方箋料以外に、定期的に行う血液検査料と調剤薬局で支払う調剤料および薬剤費が必要です。これらの費用に関して、治療終了までの概算を示します。
(ここに示すのは、健康保険3割負担の方の自己負担分の金額です。)
A.ホスラブコナゾール(ネイリン)内服の場合
1ヶ月分の薬剤料 7千円
3ヶ月治療した場合の薬剤料 約2万2千円
(新薬であるため、後発品はありません。)
B.テルビナフィン(ラミシール)内服の場合
1ヶ月分の薬剤料 約2千円
6ヶ月治療した場合の薬剤料 約1万2千円
(後発品をお選び頂くと、薬剤費は4割程度安くなります。)
C.イトラコナゾール(イトリゾール)内服の場合
1週間分の薬剤料 約7千円
治療終了までの3週間分の薬剤料 約2万円
(イトリゾールに関しては、先発品と後発品に同等性の疑問がありますので、後発品はお勧めできません。)
D. エフィナコナゾール(クレナフィン)またはルリコナゾール(ルコナック)爪外用液の場合
1本(2~8週間分) 約2千円
1年間治療した場合の薬剤料 約1万2千円~4万8千円
(治療する爪の枚数により、使用する薬剤料が異なるため。)