乾燥性湿疹
どんな症状
主に秋から冬の空気が乾燥する季節に、乾燥した肌が外からの刺激に敏感になり、衣類の締め付けや摩擦、お風呂で体が温まることなどのささいな刺激により、かゆみを感じたり、肌が炎症を起こして赤くなったりするのが乾燥性湿疹の症状です。痒くてひっかいてしまったり、タオルでゴシゴシとこすったりすることで症状が悪化して、治りにくくなります。
初期には肌が白く粉を吹いた状態になり、衣類の締め付け部分が痒くなったり、入浴で体が温まると痒くなったりします。
症状が進むと、乾燥により皮膚の表面に細かいひび割れを生じ、炎症による赤みと痒みが強くなります。さらに進行すると、痒みで夜中に目が覚めてしまったり、ひっかいた部分の皮膚がゴワゴワと硬くなったり、ジクジクと水がしみ出るようになったりします。
原因
肌のうるおいは皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質という3つの物質によって保たれています。
加齢などによりこれらの物質が少なくなってしまうと、皮膚が乾燥しやすくなり、乾燥性湿疹を生じます。年齢以外にも、空気の乾燥や、熱いお湯の入浴、ゴシゴシ洗いなど生活習慣も原因となり、若い人でもこの病気にはなります。
健康な肌と乾燥肌の違い
健康な肌は、角質細胞と角質細胞の間が角質細胞間脂質で満たされ、すき間のない状態です。角質細胞も整然と並び、丈夫な構造が保たれています。これが、皮膚のバリヤー機能が正常に保たれている状態です。
乾燥肌では角質細胞間脂質が減少し、角質細胞がはがれやすくなります。角質細胞の配列も乱れ、すき間だらけになります。これは、皮膚のバリヤー機能が損なわれた状態です。
バリヤー機能が損なわれると、肌の保水力が弱くなり、皮膚の表面からどんどん水分が失われていきます。また、外的な刺激に敏感になり、わずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。この状態が続くと、繰り返し外的刺激を受けることにより皮膚は炎症を生じ、乾燥性湿疹を生じます。
対策…日常生活での注意点
症状を長引かせないため、またこのような症状にならないためには次の3点に気をつけましょう。
• うるおいを逃がさない
• うるおい与える
• 不要な刺激を避ける
では、具体的に日常生活ではどのようなことに気をつければよいのでしょう。
入浴時の注意事項
• 体を洗う時にゴシゴシこすらない
ナイロンタオルや硬い素材のスポンジ・ブラシなどを使用せず、よく泡立てた石鹸を使用して手でやさしく洗いましょう。
• 毎日全身を石鹸で洗う必要はありません。
汗をかかない季節であれば、毎日石鹸を使用するのは、わきの下とへその周囲、股の部分だけで十分です。
• 風呂から出たら保湿剤を
入浴直後は肌が水分を含んで潤っていますが、外気が乾燥していると10分後には入浴前の状態に戻ってしまうと言われています。風呂から出て、タオルで体を拭いたらすぐに保湿剤を塗りましょう。
部屋の乾燥に注意
部屋の湿度は50~60%を保ちましょう。
肌着はやわらかい綿素材のものを
起毛素材や化学繊維の肌着は、直接肌に触れると痒みの原因になります。
アルコールや辛い食品は控える
アルコールや香辛料などの刺激物をとりすぎると、痒みが強くなります。さらにアルコールを多飲すると眠りが浅くなり、睡眠中無意識に皮膚をかき壊してしまいます。
規則正しい生活を
不規則な生活をしていると皮膚のバリヤー機能が損なわれて、かゆみに敏感になります。
いずれの治療法も、1回の治療でイボが治るわけではありません。特に多発性のイボや大型のイボの治療は繰り返し、根気よく続ける必要があります。イボは治療に時間がかかりますが、必ず治る病気です。あきらめないで、定期的に治療を続けるようにして下さい。
治療
ステロイド外用薬
かゆみが強い場合や、発症から長い時間が経過している場合には、確実にかゆみと発赤を無くすために、強力な抗炎症作用のあるステロイド外用薬を使用します。はじめに強力な治療を行わないと、ひっかくことでさらに症状が悪化したり、長引いたりします。
保湿外用薬
初期で症状が軽いうちであれば、保湿外用薬を入浴後に使用するだけでもかゆみは止まります。
症状が強い場合にも、ステロイド外用薬により炎症を抑えるだけでは、薬を止めた時に再発してしまいます。保湿外用薬をステロイド外用薬と併用して、あるいはステロイド外用薬を中止後に症状の予防のために使用します。
抗ヒスタミン薬(内服)
かゆみが強く外用薬だけでは症状が改善しそうにない場合や、かゆみにより睡眠が妨げられている場合には、かゆみを抑える目的で抗ヒスタミン薬の飲み薬を使用します。抗ヒスタミン薬には眠気や体がだるくなるなどの副作用がありますが、新しいタイプの抗ヒスタミン薬にはそのような副作用を生じないものもあります。